中国歴史ドラマ「末代皇妃」に出演したとき、難しかったこと。
それは、台詞を覚えることではなく、その人物を想像し、
その人物がどのような時代背景の中に生きていて、
そして、その人物がどのような立場におかれていたのかを
よくよく想像することだった。
よく想像して、はじめて、当時のその人物の心境に近づく。
「高橋」は、本来の自分の思い、心から離れていた。
その精神状態になると、当時の「高橋」の表情、仕草が出てきた。
「戦争」を「垣間見た」気がした。
そして、「戦争」は他人事ではないことを知った。
本質的には精神状態の問題であり、日々の自分の精神に存在しうる。
自分自身の本当の思いや心から離れがちになりやすい現代。
そのような時代において、
「意識のベクトルを内に向けることの意味について観察してみよう」、という着想のもと、
名作といわれる文学をテーマに中国語教材の作成をはじめることになった。
「あなたは頭の良さや、鋭い感受性は、生まれつきのものだと思っていませんか?
もちろん、一人一人生まれたときから、能力は異なっているのは事実です。
ですが、それ以上に、後天的な訓練によるものが大きいのです。
私たちは生涯日本語を使って、ものを考え、ものを感じます。
ところが、普段何気なく言葉を使っているだけに、
逆に論理的な使い方や微妙な使い方を知らないままでいます。
曖昧な言葉の使い方しかできない人に、論理的な思考は困難です。」
出版社水王舎社長 出口汪
外国語の学習を通して、日本語を別の視点から眺めることができます。
例えるなら、自分の家から一歩外にで、広大に広がる野原から、
自分の住んでいた家を眺めるようなものです。
それによって、日本語独特の特徴、一語一語の意味を根本から
見つめなおすことができます。
外国語を学んでいる方の日本語は、学んでいない方の日本語と全く違います。
「言語処理能力が高まり、あらゆる知的活動がスムーズに運ぶようになります。」
こういった能力のUPは目にみえません。
じわじわと出てくるものです。
ですので、多くの方は、簡単に成功するノウハウ本などを購入したりするのでしょうが、
逆に、
文学の持つ隠れた莫大な価値が見落とされています。
多くの方が気付いていないこの点に注目することで、
今度のあなたは大きなアドバンテージを得ていくことになるでしょう。
中国語学習という手段を通して、あなたの知的活動の力の底上げのお手伝いをしたい。
そのために、学習素材として文学を選びました。
そして、最高傑作の小説をお届けするのですから、面白くないわけがありません。
「文学的感動を味わいながら、言葉のトレーニングをする。」
宮沢賢治は1923年、自分の文学作品について以下のように述べています。
わたしたちは、氷砂糖をほしいくらゐもたないでも、
きれいにすきとほつた風をたべ、
桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。
またわたくしは、はたけや森の中で、ひどいぼろぼろのきものが、
いちばんすばらしいびろうどや羅紗(らしや)や、宝石いりのきものに、
かはつてゐるのをたびたび見ました。
わたくしは、さういふきれいなたべものやきものをすきです。
これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで、
虹(にじ)や月あかりからもらつてきたのです。
ほんたうに、かしはばやしの青い夕方を、ひとりで通りかかつたり、
十一月の山の風のなかに、ふるへながら立つたりしますと、
もうどうしてもこんな気がしてしかたないのです。
ほんたうにもう、どうしてもこんなことがあるやうでしかたないといふことを、
わたくしはそのとほり書いたまでです。
ですから、これらのなかには、あなたのためになるところもあるでせうし、
ただそれつきりのところもあるでせうが、わたくしには、そのみわけがよくつきません。
なんのことだか、わけのわからないところもあるでせうが、
そんなところは、わたくしにもまた、わけがわからないのです。
けれども、わたくしは、これらのちいさなものがたりの幾きれかが、
おしまひ、あなたのすきとほつたほんたうのたべものになることを、
どんなにねがふかわかりません。」(「注文の多い料理店 序より)
大正十二年(1923年)十二月二十日 宮沢賢治

私は以前、「何故、長ったらしい他人のことの記録をわざわざ
読む必要があるんだ?」と思っていました。
文学は哲学と違って、直接的な「答え」を提示しないからかもしれません。
「そこは幽玄な山奥だった。眼下に広がる遠くの山々と、遠い天空が現れる
と、私の胸の中も同様な空間的広がりをもつのだった…」
名作といわれる作品には「無意味」とも思える
「絵画」が登場します。
こういった「無意識」的な領域、また、解剖学的には、より内側に属する「古い脳の領域」が
名作という文学作品では登場してきます。
温故知新。
以上、心の温めることで知性の閃きが起こるのを想定して、作成をはじめたのが、
「名作文学から学ぶ中国語講座シリーズ」です。
名作文学というものは、一般的に言葉使いが難しく、入門レベル、初級レベル
では、なかなか歯が立つものではありません。
そこで、名作の原文を、河北師範大学中国語学科の現役学生講師に、まずは
小学生でもわかるわかりやすい言葉に落としてもらい、
名作文学の現代中国語口語訳を作成しました。
ネイティヴには、子供に童話を聴かせるような感じまでわかりやすい言葉に落としてくれと依頼しました。
そして、その口語訳には散歩時や通勤時、休み時間でも楽しく聴けるように、MP3ファイルに朗読を
吹き込んでもらいました。
上のスクリプトの朗読サンプルを聴いてみる
実用上の意味では、現代中国語口語訳テキストとMP3朗読ファイルを使い、シャドウイングを行うことで、
楽しくかつ意義深く中国語の基礎会話力と基礎リスニング力を身につける学習を可能としました。
現代中国語口語訳を理解した後で、原文を細かく見ていきます。
そこから、その名作文学が創作された時代時代のイメージが湧き、創作者自身の心境となって、
その時代を眺める助けとなるでしょう。また、原文の朗読MP3ファイルも作成してもらい、いつでも楽しめるようにしました。
上のスクリプトの朗読サンプルを聴いてみる
これによって、口語訳から原文へと段階的に進むことができます。
現代中国語口語訳文そして原文を読解する際には、基礎文法の理解が不可欠なわけですが、
テキストの中で使われている基礎文法を見抜く頭の使い方は、
作文しているときの頭の使い方と似ています。
正確な表現(作文など)を反復練習し高速化したのが、そのテーマについて流暢に喋れるということです。
作文では文の構造を考えながら、じっくりと時間をかけて取り組むことになります。
同様に文章読解でも、文の構造をじっくりと時間をかけて解剖することになります。
その意味で、テキストの精読は、消極的なアウトプット練習だと言い換えることもできるしょう。
私は以上の考えのもと、「精読方法」を使い続け、学習ゼロ地点から8ヵ月後のビジネス中国語の授業で、スターバックスに関連した日本語の新聞記事を
中国語に翻訳したものを授業で発表したことがあります。
当然、ネイティブには事前にチェックしてもらっていません。授業でチェックです。
その翻訳を見たビジネス中国語担当講師は、私の学習暦が8ヶ月だと聞いた後、唖然としていました。
当然の結果です。確実な作業が、確実な結果をもたらすのは当然だからです。
自分の頭で、基礎文法事項が現代中国語口語訳文また原文の中でどのように使われているのかを、
よく観察してみてください。
そして、参考資料としての日本語訳と中国語をつき合わせてよく観察してみてください。
当サイト第一回目で扱う名作文学の日本語訳は青空文庫で公開されています。
そしてまた、その名作文学が創作された時代時代のイメージが湧き、創作者自身の心境となって、
その時代を眺めるための手助けとなるでしょう。
歴史は繰り返されます。
名作文学には、人間の暗闇の部分と光の部分が織り込まれた生きた歴史が脈々と流れています。
そして、過去の教訓に学び、人は成長します。
そういった文学に触れるということは、人生経験のエッセンスに触れることだといえるでしょう。
名作文学から学ぶ中国語講座シリーズ:無味乾燥になりがちな語学の学習を、意義深く楽しい実感のある学習へと変える。
現代中国語口語訳テキスト(合計36話)と対応朗読MP3ファイル:いつでもどこでも、シャドウイングによる反復練習で、
中国語の基礎会話力と基礎リスニング力を身につけることができる。
現代中国語口語訳テキストと対応した原文テキスト(合計36話):ネイティヴによる朗読MP3ファイル付。
注:当中国語講座が扱う作品は、創作後すでに50年が過ぎ、著作権が消失している文学作品となっています。
最後になりますが、「言語」の「語」は、「言」と「吾」から成ります。
「吾」とは古典で、「自分」の意味です。
自分があってはじめて言葉は生まれる。
心があって、はじめて言の葉に生命が流れる、と言い換えることもできるでしょう。
第一回目は魯迅の「故郷」という作品を扱います。日本の中学校の教科書にも載っていますね。1921年1月に執筆された作品です。
賢治の「注文の多い料理店の序」が書かれた1923年12月20日の約2年前です。
魯迅は、白話文(口語文)の使用を推奨し、現代中国語の普通語の基礎を作
った人物ですが、彼の心の風景はどのようなものだったのでしょうか。
そして彼は何を見たのでしょうか。
2009年4月12日 PM17:54 阿部芳久
オーディオブックの注文へ進む
【個人情報保護について】
【特定商取引法に基づく表記】
Copyright (C) 2007 Abeyoshihisa All Rights Reserved.